使えない理想
- あなたが少しでも喜んだり、楽しんだりできるのなら、私が私を削ります。そうしてできた亡骸は、隠して墓場まで持っていってしまえば、誰にも届かない。
- 好きな人がいます。私には、好きな人がいます。私より背が少し高くて、大人しいけど作品は尖ってて、たまに学校で見かける、ちょっとかわいい男の子です。少し前まで近寄りがたい人でした。作品講評で集団リンチにあっていたのがきっかけで気になりはじめました。なんで面白いことしてるのに叩かれてるんだろうと思って見ていました。精神不安定期に「なんでこの作品作ってんの?」って言われて、分からなくて悲しくて悲しくて、彼の前で泣いてしまったあの日、彼への大好きもポロポロと溢れ出してきやがりました。最近はまっていることといえば、彼との恋人っぽいやり取りを想像して絵を描くことと、オナニーです。リアルではうまく話せなくて死にたいです。毎日かわいいコーデやメイクを模索しています。鏡にかわいい女の子が写れば2、3日楽しく過ごせます。アイロンで髪の毛をクルクル巻くのが今の流行りです。かわいい私の絵を描くことも好きです。捏造なんかじゃないって言い聞かせるために、画力を上げたいです。自炊がめんどくさいです。コンビニでバカみたいにお金を使ってしまいます。最近いくら食べても気持ち悪いばかりです。大好きな甘いコーヒーも飲み過ぎて飽きてしまいました。今はおいしいミルクティーがほしいです。温かい飲み物がすぐに冷めてしまうのが嫌です。ずっときれいな魔法瓶ほしい。紙と布が散らばった八畳間の片隅にあるベッドに寝転んで、TVを見て笑ったり、asmrを聞いてよじれたりしています。歌いたい時にシャワーを浴びます。思いっきり歌います。幸せな時間です。この八畳間でしか生きれない私をあなたたちは知らないです。外に連れて歩けない私がいます。ときどき話をしていると感情が爆発しそうになります。そんなときは大抵心を殺します。無心になります。虚無になります。そうして早足でお家に帰って、思い切りせいこちゃんの歌をうたいます。早起きをするとまだ真っ暗で、とても寂しい気持ちになります。だから二度寝をしてしまいます。エッチがしたいという理由だけで恋人を作りたいです。セフレや風俗は嫌です。正統に愛されたいです。そんな私がずっとひとりぼっちなのは、八畳間の私を見られるのがとてつもなく恥ずかしいからです。彼に私の心を跳ね返されるのが恐ろしいからです。私の恋を彼以外のやつらに見られるのが嫌だからです。私の愛が信じられないからです。かわいく生きたいです。社会でかわいく生きたいです。この部屋では、こんなにも愛が溢れ出るのに。
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