1、2年前のメモ📝
あの子は病気でした。
涙が止まらない病気でした。
あの子はいつでも泣いてました。
ポロポロポロポロまあるいしずくの玉がとめどやく頬を転がっていました。
みんなはかわあえそうに思いました。
ずっと泣いている人生とはなんて悲しいのだろう。
そうしてあの子のために涙を流しました。
しかしあの子は悲しみを知りませんでした。
嬉しいことも辛いこともわからなくなっていました。
ある日、街でやけにきっちりした老人に声をかけられました。
君はどうして笑わないのか。
笑うだけでこんなにも世界はキラキラと輝いて渡さたちを迎えてくれるのに。
さぁ笑おう。笑おう。
あの子は笑いました。
見よう見まねで口を開けて「ははは」と声を出してみました。そうするとまわりのひとはみんな喜びました。感極まって抱き合う人達もいました。
それからあの子が笑えばみんなが笑いました。
「ははは」
「ははは」
「はははは」
「はははは」
笑っているとみんななんだか幸せな気もちになるようでした。
けれど、あの子の病気は治りませんでした。
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