勇者
白羽の矢で呪い鎧に見初められた、哀れな少年。
思考も心も可動域も制御され、怖くて苦しい、助けを呼ぶことすらできず泣いている。
命と愛を奪い続ける存在。
そして全ての“敵”を殺した時、呪いは剥がれ、自分が傷つけた者を癒す力を手に入れる。償いを強いられた少年は日に日に姿を変え、龍となり、百八の魂を救った嵐の日、新たな“勇者”によって殺される。
憎悪、怒り、あるいは怒りの表現、もっと言ったら犯罪。そういうものの中には憑依的な感情がある。
例えば犯罪っていうのはごく一部かもしれない。その下に犯罪とまではいかないかもしれないけど犯罪的な行為ってあるじゃないですか。非常に罪をなす行為、人を傷つける行為、あるいは傷つけて喜んでいる行為。その多くは「復讐」的だと思う。それはその相手にリベンジしているわけではない。その過去に、過去っていうのは変わりようがないでしょ?だから今目の前にいる人(の過去)にリベンジしている。それは呪いに近いんですよね。昔、もっと文化が豊かだった、表現が豊かだった時には、実際にそれは「生き霊に乗り移られている」んだと。それは現代的に味気なく言うとね(現代の方がずっと味気ない、しかも真実からも遠い、けどそうやらないと僕たちはもう理解できないくらいにある種文化的に劣化していますから、僕に言わせるとね)それは復讐なんですね。
復讐っていうのは当人に対してだけではなくて、見ず知らずの人、何かちょっと言い方が似ている人、あるいは立場が似ている人、顔つきが似ている人、なんか心根が似ているように感じる人に、今度は復讐をする。それは過去の呪いなんですね。過去にその人が屈辱を受けたとき、それだけじゃなく呪いを受けていて、ずーーっと心の中にその過去に受けた怒りを持っている。そして目の前にいる私やあなたにバッとSNSを通じてつまらない言いがかりをつけたり、だいたい酷いこと言ってくる人は全体を知らない人ですもんね。部分を知っているだけです。でもその部分は何かというと、それによって触発された過去の怒りが蘇ってくる、つまり呪いです。呪いがかけられている人、それをすごく宗教的に言うと「憑依されている」。僕はそういう意味で「この人は何かによって呪いがかかっているんだ」こう思うようにするわけ。元々のこの人はすごーく弱くて、あるいはすごく自信がなくて、あるいは何かその時に(心が)ゴロゴロしてたのかもしれない。ほんでずーっとそれから呪いがかかって夢の中にいるわけ。憑依されてて自分の本来の姿に気づいてないわけ。それでずっと敏感になって、ある僕の一つの言葉、あるいはあなたの一つの言葉、何かの表現にカチンときて、うわぁーって怒る。つまり何かに取り憑かれている人だと、それをちょっと違う世紀の近代以前の言い方で言うと「呪われてる人」あるいは「何か生き霊に憑依されている人」。それでその時に犯罪的な言動を起こす。自分を見失っとんよね。
「早くその憑依が解けますように。ふっと解けたときに本来の自分に気付けますように。」と。その瞬間はカッとなるんだけれど、こういう風に祈ったらもうそれ以上怒らなくて済む。でもその前にその人と別れとかないといけないでしょ?だからそれは場合によってはブロックしてもいいし、ミュートにしてもいいし、そのサイトを閉じてもいいし、そういうことは対応していかないと、何遍もそんいう人に浴びせかけられるとそれは正気ではいられないことがあるので。まずは何らかの形でその人から距離を置くこと。あるいは遮断するブロックする。その上で「あぁこの人は自分を見失ってるんだなぁ、かわいそう。かわいそうって憐憫っていう意味じゃなくてね。だって僕たちもそういうことあり得るもの。なんかすごい怒りがあって、ある時期絶対に他人を許せない。でもたいがい極端な話、死ぬときになって、「あぁあの時にお父さんを赦しとけばよかった…」「あの時にあの人を赦しておけばよかった…」ってまぁまぁ思う人多いし、思った方が素晴らしい死に様になりますよね。素敵な死に様になる、心安らかにあっちの世界へ行けると。
その時には思い返せませんよ。その時にはとりあえず距離を置いたりブロックさせてもらったりして、後で「あの人はなんか憑依されてたんかもしれん、いやきっとそんな気がしてきた」となるとその人のために祈れることすらたま〜にはあるよ。そういうことが一回でもあると「あ、後でなにか段取り組めるかもしれない」と思うと、もうちょっとわーっと自分が言い返すっていう地獄の中に入らないで済むようにはなる。後でなんとかなると「これは何とかなるはずや!」と、今早急に決断をつけて相手を罵るってことはやめよう、っていうことが何割か起こってくるんですよ。だから今カッとなってることも、将来未来のことも多少関わってきていて「未来永劫私は屈辱を感じ続ける」ってどっかでそれを恐れてるんですよ、だから「今やっつけておけ!」と思う。人間の心っていうのは絶えず今この瞬間だけではなく、ある幅を持って今なんですね。
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